はじめに
現在、イラクの日報問題で大変自衛隊がお騒がせしています。
この日報問題は、文書管理の観点からすると大きな問題があることは確かでございます。
文書管理については、私が現役時代に大きく変わり、その変換時期に、現場では大きな苦労をしたことを思い出します。
私の主観ですが、今回の事案について少しだけ思うことを書いてみたいと思います。
結果をいうと「隠蔽ではない!」なんです。
ただ、反省するところはありますよ。

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今回の問題
皆さんご存知だとは思いますが、おさらいです。
- 平成29年2月16日 野党議員がイラク派遣の陸上自衛隊部隊の日報を資料要求し、防衛省が「不存在」と回答
- 同2月20日 稲田朋美防衛相(当時)が国会で野党議員の質問に「見つけることはできなかった」と答弁
- 同年3月27日 陸自研究本部(現教育訓練研究本部)が日報の存在を把握
- 同年11月27日 陸上幕僚監部が全部隊に海外派遣で作成した日報などに関する調査を指示
- 平成30年1月12日 陸自研究本部が陸幕総務課にイラク派遣の日報が存在と報告
- 同1月31日 陸幕衛生部が総務課に存在と報告/li>
- 同年2月27日 陸幕が統合幕僚監部に報告
- 同年3月31日 統幕が小野寺五典防衛相に報告
- 同年4月2日 小野寺氏が日報の存在を公表
- 同年4月4日 小野寺氏が陸自研究本部内で日報が昨年3月に確認されていたことを公表
今回の件はこのような流れでした。
これは隠蔽なのかどうなのか?
隠蔽と言われても仕方ありませんが当時、自衛隊の末端部隊隊員の自衛官として勤務していたのでその時の経験を少し話をしたいと思います。
文書管理とは
今は、民間企業では電子文書などが多いと思います。
公官庁については、紙媒体の文書保存が多くあります。
これはおそらく、データであればハッキングやデータクラッシュによる公文書の紛失を防ぐためだと思います。
平成 12 年2月 25 日 各省庁事務連絡会議申合せ
行政機関の保有する情報の公開に関する法律及び行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令の制定に伴い、各行政機関における行政文書の管理は、法第37条及び施行令第 16 条の規定に従った行政文書の管理に関する定めにより行うことになる。
行政機関における事務の適正かつ能率的な遂行及び法の適正かつ円滑な運用に資するため、各行政機関における行政文書の管理は、可能な限り統一性が確保される必要があり、各行政機関が行政文書の管理に関する定めを制定し、これを運用するに当たっては、下記の「行政文書の管理方策に関するガイドライン」に沿って行うものとする。
平成12年くらいから”情報の透明性”ということで『情報公開のために文書管理をちゃんとやりましょうよ』というのが始まりだと思います。
その後、様々な議論などがなされ、平成21年7月1日に「公文書等の管理に関する法律」、平成22年12月22日「公文書等の管理に関する法律施行令」が交付され、平成23年4月1日からそれぞれの法と施行例が施行、つまりスタートしました。
細部は、以下のリンク
防衛省では、「公文書等の管理に関する法律(平成21年法律第66号)第10条第1項の規定に基づき、防衛省行政文書管理規則を次のように定める。」ということで「防衛省行政文書管理規則」が制定されています。
その時の現場の大変さ
それまでも、防衛省(防衛庁)でも文書の作成は当然行ってきました。
しかし、この文書管理規則策定から、これまでの体制と大きく変わることになったのです。
私がいた航空自衛隊のツリーの中では、末端の部隊で文書が少ない部隊でしたが、今までの行政文書の保存を書き換えたりしなければなりませんでした。
一番苦労したのは「電子データ」です。
「防衛省行政文書管理規則」には以下のように書かれています。
この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)行政文書 防衛省の職員(以下「職員」という。)が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下同じ。)であって、職員が組織的に用いるものとして、防 衛省が保有しているものをいう。ただし、法第2条第4項各号に掲げるものを除く。
以前は、紙媒体の「決裁をもらって発簡された公文書」と「他部隊などが作成し、自分の部隊が受領した文書」だけが、主として公文書として取り扱われ保存してきたのに、文書だけでなく、画像データ、「文書ファイル」も行政文書となってしましました。
この時は、保存機関や行政文書として内閣府に登録するのに、部隊創設以来これまで発簡してきた、そして受領してきた数多くある文書をパソコンに一つ一つ打ち込みました。
本来であれば、保存期間が過ぎた文書も参考資料として持っておきたかったんですが、破棄せざるを得ませんでした。
もちろん、電子データも公文書としての取り扱いになるので、破棄をせざるを得なかったのです。
あの事業は、末端の部隊でもこれまでと細部が異なる文書処理・保存管理を行うため、各部隊に「細かいとこはどうするの?」と情報をとったり、上級部隊に確認したり、途中でやり方が変わったり本当に大変な思いでしたが、取扱う文書が『公文書』でしたので破棄には非常に気にしました。
というか、基本的に開示できない情報(防衛上秘匿した方が良い情報)については、決裁文書でない文書については破棄しました。
おそらく今回の日報も、その近い分類で破棄したのではないかと思います。
現場では当時のままの防衛省独自の文書管理要領を続ける方が、このような間違いが起きなかった気がします。
今回の日報をみる
今回の日報は「イラク復興支援群などの三つの部隊が、2004年1月から2006年9月に作成した延べ376日分の計約1万4000ページ」ということです。
「2004年から2006年」というと「平成16年〜平成18年」ということで「イラク日報」についても恐らく紙媒体は破棄したのであると思います。
もしかしたら、当時の資料でいうと「電子データ資料」は行政文書になっていなかったので、データが欲しという内部部隊には10数年前の当時の隊員が上司の許可を得てデータ配布したものもあると思います。
または、クローズ系のチャットができたり、データをダウンロード保存できるパソコンがあったので、それのデータを研究・活用しようとしてダウンロードした可能性も捨てきれないと思います。
私がいた末端部隊でさえ、行政文書登録するのは大きな事業でした。
本当にきつかったです。
これが陸上幕僚監部だともっと大変だったろうなと。
今回のことで思うこと
「文書の管理が適切でなかった」この御指摘はあっています。
破棄を命ぜられた文書が残っていたのですから・・・・
今回、日数がかかったことも言われています。
「陸自研究本部」(現・教育訓練研究本部)の隊員が偶然見つけ、その後の指示で「陸幕衛生部」隊員が見つけたのだろうと思います。
普通はこの手の文書は「防衛」とか「運用」と言われる場所に配布されるものであり、なぜ10年たって「衛生部」にあったのか検討もつきません。
すぐに発表し、その後、更に見つかりましたというと
このように「隠蔽!また発見」と書かれるからでしょう。
防衛省の文書は、紙媒体(それぞれに保存期間があり、最長30年だったと思います)も含め、データも無数にあります。
そのためファイルの保存名をわかりやすいように少し違う名前にしていると、文書の検索にもかからず全ての文書の中身をなかなか探すのは難しいと思います。
少しきつい言い方ですが、この方達は文書の管理がどのように代わりどのようにしているのか現場を知っているのか疑問です。
もちろん、ご指摘をうけないといけない部分はありますが
- 民進党の大塚耕平代表
「防衛、財務、厚生労働各省での相次ぐ問題発覚を批判した。」
「現行憲法の基本を守る姿勢がなければ憲法改正論議など成り立たない」 - 立憲民主党の枝野幸男代表
「隠蔽、改竄が各所で行われている。国会審議のやりようがない。不退転の決意で臨んでいきたい」 - 立憲民主党国対幹部
「日報問題は、タチの悪さでは学校法人『森友学園』の問題より上だ」 - 共産党の志位和夫委員長
「改竄・隠蔽政権に憲法を語る資格なし」
と、ありますが、変な話ですが隠蔽はできたと思います。
データを消せばよかったのですから・・・・
でも、それをやらない!
それが自衛隊の純粋さであり、遵法精神なのだと思います。
「隠蔽」ではなく、たまたま見つけ報告をした自衛隊という組織は、ある面では褒めてもいいのではないかと思います。
しかしながら、文書管理という面では、改善をして同様な事象の解消をしなければならないと思います。
「憲法改正の話なんて!」との記事がありましたが、「自衛隊」は特異性が他の官公庁と違うのに「防衛省」という官公庁枠組みに当てはめてしまった。
そもそも、もっと自衛隊を明確化して国防という特異性から他の官公庁とは違う法体制があるべきではないのか。憲法9条を改正し「自衛隊」を国防のための組織に明記して、防衛力を最大限に出させ国民と隊員を守るために法整備を大きく変える。という議論があってもいいと思います。
とりあえず、自衛隊のこと勉強してくれ!
自衛隊のことを知らずに命令を与えて欲しくないし、本当に命をかけて国民のために動いているものがいる事を考えてくれ!
現場は黙々と上が決めた事をやってるんだ!
頑張れ!防衛省!自衛隊!

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