米軍の最近の緊急着陸
1月6日 UH1 うるま市海岸
1月9日 AH1 読谷村廃棄物処分場
23日午後8時ごろ、沖縄県渡名喜村・渡名喜島の村営ヘリポートで米軍の普天間飛行場(同県宜野湾市)所属のAH1攻撃ヘリコプターが不時着した。
乗員2人にけがはないという。
県内での米軍ヘリの不時着は今年に入って3回目。
日本政府関係者によると、米軍は「警告灯が点灯し、予防着陸をした」と日本側に伝えた。
県警によると、油圧系統に不具合が生じた。
県によると、周辺への被害情報は入っていないという。
県警などが詳しい状況を調べている。
県内では今月6日にうるま市・伊計島の海岸、8日に読谷村の廃棄物処分場に米軍ヘリが相次いで不時着しており、県民の反発はさらに強まりそうだ。
渡名喜村のホームページによると、渡名喜島は那覇市の北西約58キロに位置し、外周約12.5キロ。
昨年12月末現在、村の人口は378人。
言葉の定義〜墜落・不時着・緊急着陸・予防着陸
様々な言葉が出ております。
よく「違いは?」と聞かれることが多いのですが航空法上の用語としては「墜落」は出てきますが、その定義はされていなかったと思います。
感覚的なものがありますが、パイロットの感覚的なもので紹介します。
航空事故について
「航空事故とは、航空法第76条に定められている「航空機の墜落、衝突又は火災」、「航空機による人の死傷又は物件の損壊」、「航空機内にある者の死亡(自然死等を除く)又は行方不明」、「航行中の航空機の損傷」を指します。
重大インシデントとは、航空法第76条の2に定められている「航空事故が発生するおそれがあると認められる事態」であり、閉鎖中または他の航空機が使用中の滑走路からの離着陸や滑走路からの逸脱(航空機自らが地上走行できなくなった場合のみ)など16の事態が航空法施行規則第166条の4に定められています。」
参考:国土交通省HP
墜落について
墜落については、操縦不能で地面または水面等に衝突するイメージです。
その際に航空機の損傷具合や乗員上客の死傷は関係なくて、あくまで「操縦不能の状態」というところにウェイトがある感じです。
不時着について
不時着については、通常通りに飛行場へ着陸ができない状態(ランディングギアが降りないとか、安全に飛行場まで持たない)又はエンジン停止でオートローテンションや滑空をしながら(非常に限られた範囲で操縦ができる)、機体の損傷を最低限に抑えるように着陸・着水をするような感じです。
参考資料:「空港等以外の場所で行う離着陸(航空法第79条ただし書)の現状について」航空局安全部運航安全課
緊急着陸と予防着陸
この用語については、様々な解釈があります。
しかし、共通するものとして「通常通りの操縦と同様に着陸ができる」ということで、不時着との大きな違いはそこであると思います。
障害物と100メートルもあれば十分な安全間隔を確保して着陸することができます。
航空機には、全ての航空機に「emergency procedures」という緊急手順書(色々な製品の説明書に「故障かな?と思ったら」という項目がありますがソレです)があります。
その項目に書かれている項目であれば「緊急着陸だ」という方もいます。
「emergency procedures」に書かれていることであっても、「emergency call」という緊急事態を宣言しなければ、緊急着陸ではないという人もいます。
私の感覚では、「実際に故障をしていて、これ以上飛行すれば、航空機の不具合が進展し不時着・墜落の可能性がある」と判断した時にする着陸が緊急着陸のような感じであると思います。
緊急着陸の直近の事案
緊急着陸の直近の事案については
2017年9月30日 エールフランスA380 飛行中に大きな「爆発音」カナダ東部グースベイ空港に緊急着陸
参考:産経ニュース
2017年10月9日 フェデックスB777 油圧システムに不具合 関西空港に緊急着陸
参考:産経ニュース
2017年11月12日 エールフランスB777 火災警報灯点灯 羽田へ緊急着陸
参考:産経ニュース
2017年11月28日 ユナイテッドB787 乱気流で乗員の怪我 成田空港へ緊急着陸
参考:産経ニュース
2017年12月9日 フェデックスMD11 コックピット内に煙 成田空港に緊急着陸
参考:産経ニュース
2017年12月15日 全日空B787 飛行中に煙? 那覇空港へ緊急着陸
参考:毎日新聞
2017年12月10日 日本エアコミューターDHC―8 機内で煙発生 鹿児島へ緊急着陸
参考:朝日デジタル
ネットで調べただけなので、もっとあるかもしれません。
私の感覚では、
「実際に警報灯がついているが、実際に不具合が感じる又は感じられないが、着陸して航空機の状態を把握してみよう」
又は
「急激な天候悪化により、飛行機(ヘリコプター)としては安全であるが安全を確保して着陸する」
というのが予防着陸のような感じであると思います。
国土交通省航空局技術部運航課長の通達で国空航第808号「回転翼航空機の運航の安全確保について」というものがあり、そこには予防着陸という言葉が出てきます。
本通達は、ヘリコプターが天候悪化により海上に墜落した事故に関して発簡されたものです。
(1)有視界気象状態での飛行の継続及び安全な飛行の継続が困難になる恐れが予想され、出発地又は代替飛行場に着陸することが困難と判断した場合には速やかに予防着陸を実施すること。
〜以下省略〜参考:国土交通省HP
今回の米軍の発表では「予防着陸」と言っておりますので「そこまで深刻ではないが着陸して確認をすることが更に安全を確保する」としたのだと思います。
米軍のパイロットの覚悟
2件の場外への着陸事案が生起した時点でかなり厳しい感じのヘリコプター運用に関する指導が組織として出されたはずです。
もちろん今回、緊急着陸をさせたパイロットについても沖縄の情勢や安全指導を徹底をされてたのでしょう。
しかしながら、予防着陸をした。これは私もパイロットとして素晴らしいことだと思います。
当然、沖縄県・日本政府から抗議が来ることはわかっていたと思います。
そのパイロット自身がきつく指導される。米軍も非難を受けることを承知で着陸をさせたのです。
そのまま異常かもしれない事態を無視して空港まで、又は基地まで飛行したらどうなっていたのか?
999回は安全に基地まで帰れるかもしれない。
しかし、1回が危険な状態に進展するトラブルであれば、本人もろとも地上の住民まで被害が出てしまう。
きっとそう思って、安全が確保できている場所に着陸させたのだと思います。
そのことを思うと米軍パイロットの覚悟は、一人のパイロットとして賞賛するべきであると思います。
米軍の整備体制の疑問と安全策
しかしながら、米軍の整備体制のについては。疑問を持たざるを得ません。
自衛隊の基準から言えば、これほど短期間に不具合が発生することは希だと思います。
しかし、台湾、沖縄近海における中国の動向や北朝鮮の動向を見ると、この極東地域では予断を許さない状況があります。
装備品だけが優秀であっても、それらを運用する隊員が装備品の運用方法に習熟していることは当然ですが、他機関との連携要領・技量維持は訓練を継続することは必要不可欠なんです。
訓練を継続せざるを得ない状況も考えなければなりません。
訓練はしなければならない状況、しかし事案が続く・・・・・
これは、米軍に負荷が大きくかかっているが整備体制の見直しをしてもらわなければなりません。
そして、これらの案件で表面に出たのが普天間基地固定化の早期排除です。
これらの予防着陸しなければならない場所が、宜野湾などの上空であればどうであったのか。
もちろん予防着陸ができる場所はないので、そのまま基地へ向かうでしょう。
予防着陸ができなければ999回安全でも1回、不具合が発展すれば地上に被害が出ることになります。
本来であれば、国防というもは自国のものだけでやることであり、米軍という存在は必要はありません。
いつか米軍がいなくても自衛隊だけが沖縄県に配備され、今とは違う「日米安全保障条約」を締結することが私の理想です。
しかしながら、この緊迫した極東情勢から日本国を守り抜くことと普天間の固定化を取り除くのであれば道は決めざるを得ないと思います。
現在、名護市長選挙目前の大忙しです。
必ず自己の権利を発揮していただきたいと思います。
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